2010/08/10

「ROCK IN JAPAN FES 2010」を終えて。

 トップの写真を変えました。

 DJ BOOTHの裏に常設されているビニールテントの控え室から撮った、夕陽輝く景色です。3日間連続の猛暑が続いた今回のフェスは、夕方になってようやく落ち着くことが出来た。あまりにも暑い陽射しが心も体も蝕むようで。

 「ROCK IN JAPAN FES 2010」終了しました。

 個人的な区切りとなる10年目のフェス。蓋を開けてみれば、金曜日からの猛暑と伴って、史上最強の入場者数。例年、金曜日は土日と比べて多少、お客さんの人数が少ないイメージでしたが、そんなことは全くなくて。連日連夜、DJ BOOTHは大盛況で幕を閉じました。
 改めて、フェス主催者のロッキングオンのスタッフの皆様。DJ BOOTHを3日間支えて下さった、音響映像関係、セキュリティー関係、総合的なとりまとめをして下さったスタッフ、皆さん全てに感謝の意を捧げます。 そして、連日連夜、DJ BOOTHに足を運んでくれた皆様に最大級の感謝の意を。さらに、常になり響き渡った全ての音楽に敬意を表します。
 印象に残る出来事は多々あったけど、とにかく猛暑が体を痛めつけてくれました。アラフォーのおっさんにとって、今年の暑さはきつすぎた…。楽屋やら、どこでもそうだけど、会う人会う人と交わす会話のまず一言目が「暑いっすよね〜」であったことも象徴しています。さらに、先に軽く触れましたが、金曜日から怒濤の入場者数の波、波、波。予想以上の人の数に、どきどきしたというか、この戦いが三日間続くのか…、と。改めて、DJ BOOTHが背負っていく、果たしていく、使命の重さを初日からずっしりと受け止めることになったことは、今年が初めてといっても過言ではないです。



 そうそう。楽屋と言えば、長年やってますと、色んな人とひたちなかで再会することが多くて。でも、大体、三日間に渡ってひとりひとりと、出逢うことが多いんだけど、今年は何故か初日にどばっと。ほぼ全ての知り合いと再会という奇跡もあって。なんか不思議な感覚に陥ったなぁと。今想い出しました。
 改めて。そうです。連日、1日に3回ステージに上がりました。合計、9ステージ。1ステージ約50分だとすると、450分。7〜8時間もの間、DJをやったのだということなのです。今こうやって計算すると凄いことだ、と、再確認。
 今年の目標は、燃え尽きる、ということが第一。さらに、忘れ物はしない、ということ。さらにさらに、10年の集大成として、今まで得たものを噛みしめつつ、それを今年の三日間で全てを出して、何かしらの標を、何かしら意味のあるものを残すことが出来れば本望であると。それを目標にしていたのですが、出来たかな? うん。出来た、と思ってます。



 全てのステージでの全てのDJでの全ての音楽に全ての感情をぶつけて記憶に残して行く三日間でしたが、やはり一番素晴らしい記憶として残った時間帯は、二日目のオーラスのDJです。今までも幾度となく、トリの時間をやってきたけど、とてつもなくびびります。保坂を知ってくれている人がどれだけなのか。ライブを見終わった最後の最後にDJを楽しみに来てくれた人、初めての人をどれだけ楽しませることが出来るのだろうか。そんな不安を持ち合わせてステージにあがるのが最後の時間なのです。
 僕は、DJをするときに、基本的に選曲を決めることがありません。イメージとしてなんとなく頭の中に描いて、ステージに上がります。ぶっつけ本番みたいなものです。でもそれが一番リアルタイムな音楽を生々しくフロアに流すことが出来ると思っています。自分の直前のDJが最後に流したトラックや、最後に残した空気感は、前もって知るよしもないものだから。それを感じた後に、自分が最初にかける曲を決めて、その波をフロアにいるお客さんがどのように受け止めて、どのように僕に向けて返してくれるかを感じながら、ひたすら、選曲、選曲、スピン、スピンしていくのです。なので、他のDJよりも、曲中のパフォーマンスがおろそかになっているかも知れません。でも僕は必至なので。次の曲を選ぶのに。でも、手抜きはしていませんよ。ちゃーんとやってるのでありまーす。



 そうそう。二日目最後のDJ。このときは、一曲目と最後の曲だけはばっちり決めていました。バンプの「天体観測」を一発目に。サカナの「セントレイ」で大団円を。それだけは果たそうと、決めていました。何故か。それはまあ、私の思いが詰まっているものでして。その場にいた人は感じてくれたかも知れませんし。知れなかったかも知れませんし。まあ改めて言うことでもないので…。でもって。それ以外の、間の選曲はやはりいつも通り全く白紙。それで勝負したのですが、蓋を開けてみれば、自分もビックリするぐらいの選曲をかましていました。
 ちょっと大袈裟にいうと、長年DJをやっているとたまに、降ってくる時があるのです。怪しい言い方ですみません。降ってくるって、例のあれです。降りてくるという言い方でもいいでしょうか。そうです。まるで、誰かに操られているかのように、自分の意志で選曲しているようでしていないような。選ばされているような感覚になる時があるのです。それが今回、二日目のDJにやってきました。降臨です(笑)。それはそれは、とても幸福な時間で。降ってきた感覚と共に音楽と一体になれる。そしてフロアを埋め尽くしたお客さんと一体になれる。これほど素晴らしい体験はありません。それが最後の最後でやってきて。10年間やり続けて本当によかったと思ったのであります。
 まあ、このブログで、何回も過去のフェスを振り返りながら、その度に伝えていることがあります。そう、僕は、ミュージシャンではありません。ましてや、無から有を産み出すことをするDJでもありません。他にクリエイティブな活動をしているわけでもないので、我が身を打ち出してパフォーマンスをすることも出来ないのです。だから、ただ、素晴らしい音楽を。自分で本当だと思った音楽を。嘘の音楽は絶対的に排除し。目の前にいるオーディエンスに届ける、架け橋的DJとして存在していると思っています。音によって、人と人を繋げる。音は有史以来必ず人の側に存在してきたものであるからして。ましてや祝祭空間という場所では絶対的に必要不可欠なものであるからして。その場を、より良く。その場にいる人、たった1人にでも、幸福な瞬間を、音楽を通じて感じ取れることが出来るのならば、それは、僕にとって本望であり。架け橋として人と人を繋ぐ使命をもった僕にとって最大級の至福であります。そんな瞬間が、例年以上に多くやって来たフェスでもあったなぁと思います。



 他にも沢山の想い出が残りました。

 沢山のものを刻みました。

 届けました。

 音楽は素晴らしい。

 人がこの世にいる限り。

 音楽は決して消え去らない。

 ならば音楽で一喜一憂するべきである。

 言葉では届けられない、目に見えない感情を。

 音楽で僕らは感じるのです。

 そして、また明日から、歩くのです。

 やりました。俺。

 もう。やりきりました。

 ありがとう。

 ほんとうに悔い無し。

 ありがとう。


※保坂壮彦へのメールは下記まで。DJの感想募集中です。
allisloveisall@gmail.com

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