2012/04/18

『「6 REMIX'N BIRDS / 中村一義』について。

 『6 REMIX'N BIRDS』中村一義
2012年3月28日(水)発売 VFCV-00093 2,500円(税込)
【収録曲】
1.運命(Takkyu Ishino Remix)Remixed by Takkyu Ishino
2.希望(やけのはら Remix)Remixed by やけのはら
3.キャノンボール(EVOL REMIX) Remixed by NAKAKO
4.1,2,3(FPM HyperSociety Mix) Remixed by FPM
5.ジュビリー(you & me mix) Remixed by DE DE MOUSE
6.犬と猫(SOKABE RE-EDIT) Remixed by 曽我部恵一
※中村一義 コンセプトサイト KIKA:GAKU



 全てのリミキサーが秀逸な個性を発揮していて、結構な聞き応えがあります。卓球氏はミニマルなビートを基軸としたトラックで、派手さは無いが、さすがの一言。やけのはら氏のトラックは、原曲のギター全開のバリバリのロックテイストな感じを全て取り払って、エレクトリックな浮遊する音色をバックグランドにし、ロービートに仕上げて、希望を鳴らしている。ナカコー氏の「キャノンボール」は、いい意味で期待を裏切る内容。こちらもロービートというかダウンビートというか。サイケデリックな音像が煌びやかに広がり、ローの音色が強く。ナカコー氏の世界観に「キャノンボール」のシンプルな歌詞が滑り込むように響く。FPM田中氏のトラックは、もう、別物です。ハウストラックで仕上げてくるかと思ったら、予想外のBPM105前後という荒技。でも、ここ最近のダンスビートにおいて、このくらいのテンポ感は逆に気持ちいいと思う。ヒップホップまでは行かず、な、テンポ感が心地いい。DE DE MOUSEの「ジュビリー」は、想像通りのポップ感満載。キュートな原曲をより自然体なガラクタ感に仕上げています。
 そして、曽我部さんの「犬と猫」。これが、一番、イケてます。もしかしたら、他のリミキサーの中で一番手をかけていないのかもしれない。それは当たり前で、他の方々は、そういう技量を得て活動をしている人達なので。でもこれは、曽我部さんの技量がないというのではなく、中村一義というアーティストの楽曲をリミックスするということの難しさを逆手にとって、原曲をスマートにロングミックスするという手法であり、これがとても素晴らしいミックスになっているのでありまして。一番のお気に入り。
 「犬と猫」と、アルバム『金字塔』に収録されている、「犬と猫 再び」を絶妙に混ぜ合わせ、中村一義独特のあの、もたったビートに、ちょいとエッセンスを振りかけて、強く足踏みするようなビートに変換し、増幅させているところも、さすがのミックス。最高。
 多分、人によっては、“リミックスは原曲を超えることは決して無い”とか、“カバー曲が原曲を超えるはずは絶対無い”とか、思う人もいると思う。でも、僕は、そう思わないタチでね。当たり前のように、原曲があるから、リミックスもカバーも成立するから、原曲が要らないわけではないんだけど、人の手に渡って、原曲を超える瞬間を魅せることがあるリミックスやカバーは無数に存在しているんです。そんな感覚を、まさか、このタイミングで、しかも、中村一義の名曲中の名曲の「犬と猫」で感じることが出来るなんて思いませんでした。いやはや。曽我部さんマジックでしょうかね。やっぱり、バンドマンであるからしての表現手法ですな。しかも、音楽と音楽で会話をし続けて来た旧知の間柄であるということもあると思います。


 そういえば、曽我部さんと言えば、曽我部恵一BAND。先日、Twitterでもつぶやいたんだけど、「満員電車は走る」。この曲、最高のロックンロールです。曽我部さん自身歳を重ね、ソカバンも円熟したバンドになって、ようやくこんなにも渋く、眩しく、染み渡る楽曲を創り上げることが出来たことが素晴らしい。ほんと、ボブディランっすよ。これは。






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