2011/12/05

MIX CD『ALL IS LOVE IS ALL』発売に向けて。






 師走に入って、急激に寒くなってきた。


 自身の作品が世に出るまで後10日。


 DJ保坂壮彦として初めてとなる作品、『ALL IS LOVE IS ALL』について、初めて、自分の言葉で、このブログで語ろうと思います。


 どこから何を語れば良いのか。


 そんな思いを駆け巡らせていたら、ふと、過去の自分に辿り着いてしまったのです。


 今、改めて思うことがある。




 学生時代に愛用していたダブルデッキのカセットレコーダーを駆使して、お気に入りの曲をダビングして、繋いで繋いで、「マイテープ」を友達に渡していたころのあの喜び。
大学卒業後に就職した、アパレル小売店の店内BGM用に、お気に入りの曲をカセットテープに詰め込んで、集客のピークの時間帯に、「マイテープ」をガンガンかけまくって接客しながら、「今かかっているこの曲って誰の曲ですか?」と聞かれた時の、あの喜び。
CDJが世に出て、CDでもDJプレイが出来るという世の中になったときに、誰に向けるでもなく、家に籠もってひたすらDJプレイを楽しみ、今まで出来なかったこと、「曲を上手く繋げることが出来る!」という喜びを噛み締めたあの喜び。それから、アマチュアバンドを辞めてしまい、CDJでプレイすること、自分のセレクトをリアルタイムに伝えたい衝動に駆られて、家から外に出るようになり、友達だけの貸し切りでイベントを初めてやった時のあの喜び。


 その後、ライブハウスや、様々なクラブイベントにも出るようになった。そして、ジャパンフェスのような、想像を絶する大きなフェスの会場でもDJをやらせて頂けるようになって、気づいたら、学生時代から今に至るまで、あらゆる「喜び」が積み重なって、「DJ」と呼べるようなことをずっとやってきたのかもしれない。


 そして、今回、自らの造語であり、かつ、自らの個人的なサイト名である、『ALL IS LOVE IS ALL』という言葉がそのままタイトルになって、CDというフォーマットでリリースされることになった。月日の流れはとてつもなく濃密かつ長い。しかし、ほんの数行で振り返るととてつもなく速くも感じる。今回の作品には、こんな感じでさらっと語った保坂壮彦の全ての歴史が詰て込まれていると言っても過言じゃないと思う。故に、とてつもなく内省的かつ個人的な趣向もあるだろう。でも、とんでもなく普遍的かつ大衆に向けた作品にもなっている自負があります。


 ただ、好きな楽曲を、立て続けに連打して、自由奔放に繋ぎ合わせた、MIX CD。そのようなものにはしたくなかった。さらに、才能溢れる素晴らしきアーティストが創り出した楽曲を拝借して、自分名義の作品にすることによって、「俺のモノだぜ、これは!」というような作品には絶対にしたくなかった。さらに、音楽を愛するリスナーの、聴き手の自由度を束縛するような作品にしないように、トータルコンセプトアルバムのように、1曲目からずっと聴き続けてこそという、そいういう起承転結がくっきりとした作品にはなっていないと思います。


 全28曲。70分を超える作品。どのように聴いてもらっても構いません。 自分で言うのもなんですが、聴き返す度に、沢山の収録楽曲が、聴く時々によって、様々な表情を変えて見せてくれる。一度たりとも同じ感情にはならないのです。なので、普通に頭っから聴いてもらっても構わないし、好きなアーティストの楽曲からプレイボタンを押してもいいんです。この作品の全ての始まりは、あなたに決めてもらいたいのです。終わりもあなたに決めてもらいたいのです。


 それこそ聴くスタイルもなんだっていいんです。部屋だろうが、電車だろうが、車だろうが、歩きながらだろうが、踊りながらだろうがね。でもね、ただひとつ伝えたいことがあります。最終楽曲の「アルクアラウンド」が終わった後に、そのまま1曲目の「キャノンボール」を聴き始めても違和感がないように意図を込めて制作しました。敢えて僕のエゴを上げるならば、そこだけなのかもしれません。言うなれば、“終わりなき螺旋状のようなアルバム”であり、“聴き返す度にアルバムから伝わる感情が移り変わるようなアルバム”であると思います。


 長くなりましたが、後10日間。


 時間の許す限り、このアルバムに収録された楽曲全てにおける僕の思いの丈を、このブログで綴っていこうと思っています。


 後10日間。


 全てのアーティストとリスナーへ。それを産み出す音楽という魔法へ。尊敬と感謝の意を捧げたいと思います。

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